こんにちは、shigeです。今回は「ハーバードの心理学講義」を読んでの学び、そしてこの本の内容をご紹介したいと思います。この本は題名にもある通り「自分の価値を最大にする」にフォーカスした内容となっており、自分はいったいどんな人間なんだろう、他の人はどんな価値観をもって行動しているんだろうといったことを考えるのに役立つ「パーソナリティ心理学」についてまとめたものとなっています。
このパーソナリティ心理学が学問として確立されたのは1930年代のことと言われていますが、ルーツは紀元前4世紀の古代ギリシャの哲学・医術理論にさかのぼります。次に「人間は無意識の衝動に突き動されている」というジークムント・フロイトやカール・ユングなどが提唱した理論に繋がり、そして20世紀中盤に、カール・ロジャースやアブラハム・マズローなどによる人間性心理学が、パーソナリティ心理学の潮流として台頭してきました。
年齢を重ねれば重ねるほど自分のパーソナリティというものは固まっていき、変えないといけない部分が分かっていてもなかなかそれを修正や改善することができなくなります。しかし、本書ではパーソナリティは変えられると堂々と宣言しており、その方法や考え方がまとめられています。この知見を通して自分の本当の姿を発見し理解していきましょう。それではよろしくお願いします。
本書の要点としては、自分を理解することだと思います。その為の診断テストや運命をどうコントロールしていくのか、そのパーソナリティをどう追求し、自分を変える挑戦に繋げていくのかを順序立てて説明しています。
まず自分の性格を理解することについては、5つの要素で適性を見極めることができます。おそらくみなさんは今まで人生を生きてきた中で、自分は温厚な性格だろうとか自分は負けず嫌いだとか、経験で自分の性格を判断していると思いますが、現代のパーソナリティ理論で最も影響力がある「主要五因子(ビッグファイブ)モデル」を使うことで、自分の適性を見極めることができます。それは以下のテストではかる事ができます。
主要五因子(ビッグファイブ)モデル
以下の文章を見て、まったく当てはまらないと思う場合は1を、ほぼ当てはまらないと思うなら2を、どちらかといえば当てはまらないと思うなら3を、どちらでもない場合は4を、どちらかといえば当てはまる5を、ほぼ当てはまると思うなら6を、まったく当てはまるなら7を入れます。私は自分のことを・・・
1.活発で、外向的だと思う
2.批判的で、もめごとを起こしやすいと思う
3.しっかりしていて、自分に厳しいと思う
4.心配性で、うろたえやすいと思う
5.新しいことが好きで、変わった考えをもつと思う
6.無口で、静かだと思う
7.同情しやすく、やさしい人間だと思う
8.だらしなく、うっかりしていると思う
9.冷静で、気分が安定していると思う
10.独創的ではなく、平凡な人間だと思う
集計方法は以下の通りです。
誠実性 =(項目3の点数+(8−項目8の点数)÷2
協調性 =(項目7の点数+(8−項目2の点数)÷2
情緒安定性 =(項目9の点数+(8−項目4の点数)÷2
開放性 =(項目5の点数+(8−項目10の点数)÷2
外向性 =(項目1の点数+(8−項目6の点数)÷2
TIPI(Ten Item Personality Invenyory)(Gosling,Rentfrow,Swann,2003)
このテストから分かる自分を構成する5つの因子は約5割の割合で遺伝的な要素が関係していることがわかっており、また幸福感や健康、目標達成能力などを表す「ウェルビーイング」に強く影響することも明らかになっています。この5つの因子をそれぞれ見てみましょう。
誠実性
誠実性のスコアが高い人には、「計画性がある」「規律正しい」「注意深い」「忍耐強い」などの特性が見られ、対照的に、スコアが低い人には「無秩序」「自発的」「不注意」などの特性が見られます。また、健康や長寿とも大きく関係してきます。誠実性が高い人は、生涯を通じて健康にいい習慣を保つ傾向があるからだと考えられています。しかし良い面ばかりではなく変化の激しい混沌とした環境は苦手のします。クリエイティブな仕事には不向きかもしれません。
協調性
次に協調性の高い人は、「感じがいい」「強力的」「友好的」という印象を与えます。対照的に、協調性の低い人は、「皮肉屋」「対立的」「意地が悪い」と見られます。こうして見ると協調性が社会的に望ましいパーソナリティ特性であるのは間違いありません。しかし、誠実性とは異なり、成功との関連性は高くありません。他の因子と比較しても、組織内での成功と一番関連性が低いのが協調性です。確かに上司のイメージは自己中心的で意地悪な人が多いような気がします。このことから「協調性は高すぎても低すぎてもパフォーマンスは低くなり、最適なパフォーマンスをもたらすのは、協調性が中程度のときである」と考えたほうがよさそうです。
情緒安定性
情緒安定性はパーソナリティ特性の中でも、幸福とさまざまな面で結びついています。情緒安定性が低い人は主観的な幸福度が低く、ネガティブな感情を抱きやすく、仕事への満足度が低くなる傾向があることがわかっています。これはなぜかというと、情緒安定性が低い人は、危険を察知する脳の器官である「偏桃体」が過敏であるため、ちょっとした危険を察知してしまいます。そのため、慢性的に強いストレスを感じてしまうのが原因のようです
開放性
開放性が高い人は、芸術や文化に強い興味を示しエキゾチックな味わいや匂いを好みます。これはクリエイティビティと深く結びついています。逆に開放性が低い人は、新しい何かを試すことに抵抗を感じ、いつも通りの行動を好みます。開放性が高い人は不安や抑うつ、敵意などのネガティブな感情を多く体験します。しかし、喜びや驚きなどのポジティブな感情も多く体験します。このパーソナリティ特性は遺伝的要因が高いことがわかっています。
外向性
現代社会ではこの外向性はあらゆる局面で理想的とされてきました。外向型は刺激的な状況を好み、熱い議論が交わされる環境にいるときこそ、自分のパフォーマンスが上がることを知っています。逆に外向性の低い人は刺激の多い状況ではパフォーマンスが落ちることを理解しているため、刺激的な状況を避けようとします。
実はほとんどの人はどちらかに分けられるというよりは、中間のスコアに落ち着くことが多いようです。このように真ん中のタイプは「両向型」と呼ばれ、「両向型の利点」を示す研究結果もあるようです。一般的に「販売の仕事には外向型が向いている」とされていましたが、研究では両向型は外向型や内向型よりも販売におけるパフォーマンスが優れているという結果が出ているようです。
また、外向型と内向型にIQの差はありませんが、知的なパフォーマンスに影響を与える領域があります。1つは外向型は短期的な記憶力が優れています。もう1つは作業における「質か量か」のアプローチの違いです。「速度を上げれば多くの仕事をこなせるがミスは増え、速度を落とせば達成量は減るがミスがない」というトレードオフにおいて、外向型は量を、内向型は質を優先させます。
以上が本書の前半部分である「自分を理解する」にあたる部分であり、その為のビッグファイブモデルです。このテストをふまえ自分がどういったパーソナリティ特性を備えているのかを理解し、そのパーソナリティ特性がどんな効果を持っているのかを理解することが、はじめの一歩だと感じました。後半分ではそれをふまえどんな人生を送るのかや自分を変える挑戦といった内容になっています。それではまた。
つづく
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