こんにんちは、shigeです。小早川鳳明氏の「ハーバード・MIT・海外トップMBA出身者が実践する|日本人が知らないプロリーダー論」をご紹介していきたいと思います。さっそくですが、本書の題名にもある通り著者の小早川氏が外資コンサルで共に仕事をしてきた、ハーバードやMITなどの海外トップスクールでMBAを取得したリーダーたちから学んだことが記されています。プロのリーダーとは何なのか?日本のリーダーとはどう違うのか?などの疑問から海外のリーダーたちがどういった方法で結果を出しているのか等々、プロリーダーとアマチュアリーダーの2つに分け解説しています。
本書は全9章で構成されていて、一見読むのが長くなりそうだなぁと思うかもしれませんが、そんなことはなく、この本はプロリーダーとアマチュアリーダーの2人の会話形式で進んでいくため、非常に読みやすい本となっています。それではよろしくお願いします。
まずは第1章から第6章までの前半部分では、主にチームを強化するためにリーダーがやらなければならないことや成果を出すために知っておくべき知見が記されています。後半の第7章から第11章ではKPI(Key Performance Indicator)の重要さを説いています。KPIはフォーマンスを図る指数で、来期予算数値を達成するために、日々の行動指針を数値で表現したものになります。このKPIを使ってチームのやる気を引き出したり、正しく部下の評価をするために、リーダーが持つべき考え方が記載されています。
それでは前半部分のチーム強化の部分を見ていきます。近年私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。M&Aである日突然会社の環境が変化するケースも増えてきました。そんな中、従来のリーダー論では通用しない実例がでてきているようです。 では海外のプロリーダーとはそもそもどのようなリーダーなのでしょうか?本書ではこのように書いてあります。
プロリーダーとは、営業利益に貢献できるチームを作ることにとことんこだわるリーダーです。そして、プロリーダーは成果を出すための方法論を習得しているため、どのような環境、どのようなチームメンバーを率いたとしても、必ず営業利益に結びつけることができるのです。
プロリーダーとは、転職を繰り返したとしても、毎回管理職相当で採用されるような人間です。逆にアマチュアリーダーは特定の会社、特定の業界で知見を蓄積していきます。現代の日本では一般的な働き方だと思います。新卒で入社し定年まで働き、年功序列で昇進していく。これからの時代、日本では年功序列は崩れていき、個人の力量が試されていく時代に突入していくと思われます。海外のプロリーダーは、いつクビになるかもわからないプレッシャーがプロリーダーが共通して取る行動特性を形づくるのだと書いています。
チームを掌握するために必要なこと
プロリーダーが一番最初に着任した際に取りかかることは、まずは部下にビジョンや目標を伝えることです。これにはメンバーの不安を取り除くことや、目指す方向性を見失わないようにすることが目的です。確かに最初の段階で経歴等のプロフィールを見せられたところで、日々の業務には影響しませんからね。
プロリーダーはそのビジョン・目標から逆算して仕事が生まれると考えます。どういうことかというと、まずチームが担う目標と責務があり、その為にやるべき業務がある。ですので、業務を行う人間が誰であるのかは重要ではないのです。一方でアマチュアリーダーは、「歴史的に続いてきた既存の業務分担で、部としても仕事は回っているようだから引き続き同じ業務分担でやっていこう」こう考えてしまうわけですね。この考えだとチームのメンバーは業務を見直したりせず、いつもの達成しない業務を続けてしまうそうです。
小さな成功と大きな成功を織り交ぜる
新しくチームを率いる場合、効果が大きい案件に取り組み、早く大きな結果を出したいと考えがちですが、インパクトの大きい重大な取り組みは、実現するまでに時間も労力もかかります。そんな中、モチベーションの低いメンバーがこの取り組みを行ったところで、良い成果があげられないどころか、不満が爆発し、最悪退職するケースも出てくるでしょう。そのためには、小さな労力で完了できる取り組みを行い、成功体験を積み上げていくことが重要となってきます。チームメンバー皆で小さな成功体験を共有することが大切で、なおかつ短い期間にマイルストンを区切り、数字で実感できる取り組みを行うことが大切です。
メンバーのやる気を引き出す数字を使ったプロリーダー術
本書の後半部分では、主にKPIの重要性について書かれています。このKPIとは冒頭でも言いましたが、Key Performance Indicatorの略で来期予算数値を達成するために、日々の行動指針を数値で表現したものになります。KPIは、チームメンバーの行動を決めてしまう、大変重要な指標です。よく来期予算や利益率、ROE(総資産利益率)などの財務指標がKPIだと勘違いしている人が多いですが、その名の通りパフォーマンスを図る指標です。本書でも書いてある通り、達成したほうがうれしい、単なる目標数値ではないということだそうです。
一方、海外の会社員にとって、KPIとは仕事の成果を測り、人事評価と給与・賞与を左右しますから、生活に多大な影響を与えます。また、このKPIは大企業だけしか使えなというわけでもありませんし、チームの各個人に対しても定めることができます。KPIによって、チームメンバーの活動をコントロールでき、公平にインセンティブを与え、モチベーションを高めることができます。そして、メンバーも何に重点を置いて仕事をすべきかが明らかになりますので、行動にも変化が出てきます。
また、仕事の質に善し悪しが存在するならば、その仕事に関して、必ずKPIをつくれると記載されています。ここでも、アマチュアリーダーとの対比が出てきます。アマチュアリーダーは目標をつくることに力を注ぐが結果を振り返ることに時間を使わない。プロリーダーは、結果を振り返り、なぜダメだったのかを徹底的に分析します。このように海外のプロリーダーは、KPIを使ってチームをコントロールし、成果をあげ続ける強いチームをつくることができるというわけです。
以上で終わりとなります。本書において、前半のチーム強化の部分も非常に大切な要素ですが、それ以上に後半部分のKPIに力を入れているように感じました。今回ご紹介した中では、KPIの重要さやどういった効果が期待できるか等を記載してきましたが、本書ではKPIの作成の仕方等が細かく書かれてあります。最後のほうで著者も述べていますが、海外のリーダーは短期間で成果を出せるプロリーダー術を持っているのに対し、日本のリーダーは、会社の文化を醸成する高い能力を持っています。この2つの良いところハイブリッドしてチームをそして会社を良い方向へ導ける存在になりたいものです。
おわり
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