ビジネスで一番、大切なこと|ブランディング・マーケティングを学ぼう!!

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こんにちは、今回はヤン・ミムン氏の「ビジネスで一番、大切なこと」のレビューおよび学びを書いていきます。このヤン・ミムン氏ですが、ハーバード・ビジネススクールの教授でビジネスやブランディングに精通しており、ハーバード・ビジネススクールで在職した最初のアジア系アメリカ人です(ウィキペディアより)。この本は三部で構成されており、第一部では「私たちが陥っている競争の正体」そして第二部では「私たちの目を奪うアイデア・ブランド」、第三部では「私たちは人間らしさに立ち返る」となっています。

私たちが陥っている競争の正体

例えばスーパーで買い物をしているとします。類似品がたくさん並んだ棚を見たときに、よほどこだわりがない限りものの数分で買いたい物が決まると思います。しかし生まれたてのカテゴリーは一種類しかないことも多く、プロテインバーやウォークマン、コカ・コーラも最初はそうでした。ですが、今では非常に多くの類似品が出回っています。だがこの本では「選択肢の多さイコール多様化ではない」と主張しています。それよりむしろ違いは小さくなっているとも言っています。青色と紺色の違いと、赤色と青色の違い別物ということですね。

なぜこのように類似品が数多く作られるのか、それは鳥の群れを調査したところ同じような反応をすることが分かったようです。第一は感知機能。周囲の参加者がなにをしているのかを察知する。第二は反応性。周囲が方向転換したら、それに合わせて調整する。ビジネスシーンでも同様のことがおこっています。例えば航空業界のマイレージだったり、お店独自のポイントカード等がそうです。そしてこういったサービスや製品の拡張がどうやっておこるのか次のようまとめられています。

①企業は消費者に、新しい便益を加えた価値提案を行う。

②消費者が喜ぶ。

③競合がそれに追いつこうと(真似よう)する。

④付加された価値提案が、そのカテゴリーの標準となる。

⑤顧客満足度を再度測定。昨日はありがたがられていたモノも今は当然だと感じられている。

⑥競争の結果、カテゴリー内で最低要求されるハードルが高くなる。

⑦ステップ①に戻る。

この流れは何度もおこりますし、複数のチャネルでおこります。これが第一部の競争の正体です。

私たちの目を奪うアイデア・ブランド

この第二部では三つの形態のブランド戦略が書かれてあります。まずは「リバース・ブランド」です。これに代表されるのはGoogleです。Googleが登場するまでは、主にYahoo!がプラットフォームの主力だった人も多いかと思います。Yahoo!といえば、検索窓の他にもショッピングや天気、占い、ニュース等々たくさんの情報に溢れるプラットフォームでした。対してGoogleは検索窓のみで正に素っ裸状態です。Googleのような企業のことを「リバース・ブランド」と呼んでいるが、かなり勇気のいる選択肢だと考えます。なぜなら、カテゴリー全体が北に向かって進んでいるとき、一人だけ南に進んでいるようなものだからです。 

そして二つ目が「ブレイクアウェー・ブランド」です。もし家事をしてくれるロボットがいたら何をさせますか?掃除機をかけてもらいますか?皿洗いですか?十数年前にはなりますが、当時ソニーは子犬のようなロボットAIBOを発売しました。しかも遊び相手としてポジショニングし、あえてペット程度の機能しか持たせませんでした。販売価格も二十万前後という価格帯ではありましたが、ロボットではなくペットというカテゴリー化が行われたことで、他のアーリーアダプター(新しいもの好き)とは一線を画すまでになりました。AIBOのようなブランドを「ブレイクアウェー・ブランド」と呼びます。本書では別の枠組みを提示して、変容を促す。ある製品に対して取りがちな態度を捨て、新しい条件でかかわりを持たせようとすると定義しています。

三つめは「ホスタイル・ブランド」です。これは消費者に媚びず、その気がないふりをする。歓迎する代わりに挑戦状を叩きつける。「アンチ・マーケット」の姿勢を貫いている。と評しています。例えば製品の欠点を率直に語る、容易に顧客の手に入らないようにする等嫌悪感をも抱かせるようなメッセージを提供することと言っています。代表的な例をあげるとミニクーパーがそれに当たります。看板に書かれてあるメッセージにはこう書かれてあったそうです。「この車が小さすぎないかって?ほら、あなたが考えてるより、ずーっと小さいんですよ。」極端に反抗的に映ります。これがホスタイル・ブランドの手法です。エナジードリンクのレッドブルやビルケンシュトックもこの手法に分類されます。摩擦を糧として、極端なまでの対立によって花開く。これがホスタイル・ブランドのやり方です。

以上です。本著はブランディングやマーケティングのことを中心に書かれています。消費者がどういった気持ちで商品を購入しているのかやマーケターはそれを見てどういう風に商品を開発しているのか、そして競合はどうやって起こるのかなど非常に為になる内容となっています。また様々な事例も記載されていて全く飽きがこなく、すらすらと読むことができます。

おわり

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