意思の力が役に立たないわけ
いきなりですが、明日からめっちゃ頑張ろう!!と決意したものの、いつものパターンに戻ってしまうことってありませんか?新年の誓いとかダイエットとか外国語の勉強とか。色々決意し何度も失敗すると「達成できないのは自分のせいだ」と思ってしまいます。でも、もし目標を達成できないのが自分のせいではないとしたら?
例えばダイエットにしても本を読んだり、ジムに通ったりと様々ことに取り組んでも成果がでませんよね。もちろん肥満の原因は生活習慣や遺伝など様々なことがあげられますが、一番の原因は、急激に変化している「環境」にあります。まず、ここ100年で屋外で働くほかに室内で座って仕事をするようになった。また、その土地で取れたもの食物ではなく、加工食品を食べるようになりました。このような急激な変化に適応できる人間はほとんどいません。ですので、個人の意志力でどうこうするのではなく、環境を作り出し、それをコントロールしましょう。
「どこにいるか」で人の能力は決まる
目標の実現に向けて自分の決意にコミットするとはこういうことです。
・事前に「投資」する
・「公言」する
・「期限」を設定する
・「フィードバックをもらえる仕組み」や、「自分が責任を負える仕組み」をつくる
・「自分の決意に反するもの」はすべて環境から取り除く
つまり、目標を確実に達成できる環境を自分で作り上げるのです。上記の準備を終えたならあとは行動するのみです。変わりたいのなら、意志力に頼るのは止め、自分の環境を変えよう。
「住んでいる州」が経済状況を規定する
ハーバード大学のエコノミストであるラジ・チェティ博士とナサニエル・ヘンドレン博士が行った「機会均等プロジェクト」という研究では、人が社会経済的なステータスをどれだけ改善できるかは、住んでいる州、さらには住んでいる群に大きく依存しているそうです。積極的に場所を変えていかない限り、自分が生まれた環境が残りの人生に多大な影響を与えるということになります。
また、著作家であり講演家でもあるジム・ローンの有名な言葉「人は、一緒に過ごす時間が最も長い5人を平均した人物である」が正しいと証明した研究もあります。例えば、もしあなたの友達の友達が太ればあなたの体重も増える可能性が高くなります。これを「負の二次的つながり」といいます。
人生は思いどおりに進むのか?
心理学者ダン・アリエリーの研究によると、著書のなかで「自己シグナリング」というコンセプトを説明している。私たち人間は、「自分が思っているほど自分をよくわかっていない」という概念です。あなたの人となりが、あなたの行動を決めているのではなく、あなたの行動があなたの人となりをきめているのです。
つまり、単に行動を変えることで、自分を変えることができるということです。例えば、いつもと違う服を着るや香水をつけてみる、髪型を変えるだけで大丈夫です。こういった自己改革に向けた「上向きの良い循環」を生み出せるようになります。
何年に生まれたかで「できること」が異なる
ジェイソン・ローニーは2014年、わずか10歳世界最年少でモーターサイクルでのバックフリップを成功させました。このバックフリップは1990年代ではテレビゲームで見られる技であり、実際にやるのは不可能だと考えられていました。しかし、2002年、ケレイブ・ワイヤットが歴史上初めてバックフリップを成功させました。続いて2006年にはトラビス・パストラーナがダブル・フリップ、2015年にはジョシュ・シーハンがトリプル・バックフリップをそれぞれ世界で初めて成功させました。ジェイソン・ローニーが生まれた時代、バックフリップはありふれたものだった。ジェイソンと1990年代のトップライダー達の違いは、意志力でも能力でもない。それぞれ置かれた状況が違っただけだったわけです。
個人主義という幻想
自己啓発の分野には個人主義が浸透しています。しかし精神科医のデイヴィッド・ホーキンズ博士が言ったことは「すべての苦悩は、『個人』という幻想に端を発している」というものだ。人生に変化を起こしたいいなら、意志力を発揮するのではなく、ただ環境を変え、自分が演じている役割を変えれば良いだけです。それには次のことを理解する必要があります。
・自分に何ができるかは、意志力ではなく「状況」による
・あらゆる環境には「ルール」がある
・あらゆる環境には「上限」がある
・人の価値観は絶対的ではなく「相対的」
・人は常に「役割」を演じている
必要なのは「強ストレス」と「強回復」
人は、カギとなる2種類の環境を必要としながら進化してきました。「強力なストレス」と「リカバリー」です。しかしどちらの環境もなかなか経験出来るものではありません。自分で「強化された環境」周囲に作り上げる必要があります。一つ目の強化された環境は「ポジティブなストレス」あるいは「快適なストレス」です。勘違いしてはいけないのが、上司や同僚から浴びせられるパワハラや暴言、長時間の拘束労働といったことをポジティブなストレスと言っているわけではありません。自分の限界を知るために挑戦することを後押ししてくれる力のことです。
そして二つ目が休息です。成長は、ストレスを受けた後、休んでいる間に起こるものです。厳しい環境からゆっくり休める環境へとシフトする必要があります。また創作活動におけるひらめきも、過酷で大変な作業から精神的にリカバリーしているときに起こります。仕事中に起こるものはわずか16%にすぎないともいわれています。
「めったに起きない状態」を起こす
心理学者のアブラハム・マズローは至高体験をこう言っています。
「めったに起こらないものであるが、ワクワクし、広大かつ深遠な感動を呼び起こし、気分が爽快になり高揚する経験。」マズローはさらに至高体験は人として自己実現するために不可欠だと主張しました。至高体験は、強化された環境、もっというと休息とリカバリーに向けた環境で起こる可能性が高いのです。余談ですがあのビル・ゲイツは「考える週」を作り、仕事や様々なコミュニケーション手段を切り離し、マイクロソフトのアイデアを考えていたそうです。さすがに私たちは1週間も時間が取れませんから、30分でも全てから離れる日を設けても良いかもしれません。
つづく
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